がん治療のための専門施設 がんセンター

がん治療に
ついて

Treatment

精巣腫瘍

精巣腫瘍とは

 精巣には男性ホルモンを分泌する役割と精子を作る役割があり、それぞれ別の細胞によって行われています。男性ホルモンを産生するのがライディヒ細胞、精子をつくるもとになるのが精母細胞です。精巣腫瘍のほとんどは精母細胞から発生します。精母細胞のように生殖に直接関係のある細胞を生殖細胞あるいは胚細胞と呼び、精巣腫瘍は胚細胞腫瘍とも呼ばれます。精巣腫瘍は他の多くのがんと異なり、20歳代後半から30歳代にかけて発症のピークがあり、若年者に多い腫瘍であることが大きな特徴です。

精巣腫瘍の症状

 精巣腫瘍の主な症状は、片側の精巣の腫れや硬さの変化です。しかし多くの場合、痛みや発熱がないため、かなり進行しないと気付かないことも少なくありません。また、精巣腫瘍は比較的短期間で転移をきたすため、転移によって起こる症状によって、もともとの病気である精巣腫瘍が診断されることもあります。転移した部位により症状は異なります。例えば、腹部リンパ節への転移の場合では腹部のしこり・腹痛・腰痛などが、肺への転移の場合では息切れ・咳・血痰などが挙げられます。

精巣腫瘍の診断方法

触診
精巣の腫れやしこりを確認します。
腫瘍マーカー
腫瘍細胞がつくり出す物質です。代表的な精巣腫瘍の腫瘍マーカーには、AFP(αフェトプロテイン)、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)およびhCG-β、LDH(乳酸脱水素酵素)などがあります。治療効果の判定や治療後の経過観察にも用いられます。ただし、すべての種類の腫瘍が腫瘍マーカーを作り出すわけではなく、他の病気によってこれらの腫瘍マーカーの数値が上昇することもあります。
画像診断
主にCT検査で、腫瘍の性状や広がり、転移の有無を調べます。PET検査も行われますが、非セミノーマに対する有効性は確認されていません。

精巣腫瘍の治療

 精巣腫瘍は進行が速く、転移しやすいという特徴があります。そのため、精巣腫瘍が疑われる場合には、まず病気のある側の精巣を摘出する手術を行います(高位精巣摘除術)。病理診断と同時にCT検査などの画像診断によって、腫瘍の種類と病期を確定します。腫瘍がセミノーマであるか非セミノーマであるかによって、その後の治療方針と予後が異なります。

精巣腫瘍の治療方針

(精巣腫瘍診療ガイドライン2015年版より作成)

ページの先頭へ