Treatment
精巣には男性ホルモンを分泌する役割と精子を作る役割があり、それぞれ別の細胞によって行われています。男性ホルモンを産生するのがライディヒ細胞、精子をつくるもとになるのが精母細胞です。精巣腫瘍のほとんどは精母細胞から発生します。精母細胞のように生殖に直接関係のある細胞を生殖細胞あるいは胚細胞と呼び、精巣腫瘍は胚細胞腫瘍とも呼ばれます。精巣腫瘍は他の多くのがんと異なり、20歳代後半から30歳代にかけて発症のピークがあり、若年者に多い腫瘍であることが大きな特徴です。
精巣腫瘍の主な症状は、片側の精巣の腫れや硬さの変化です。しかし多くの場合、痛みや発熱がないため、かなり進行しないと気付かないことも少なくありません。また、精巣腫瘍は比較的短期間で転移をきたすため、転移によって起こる症状によって、もともとの病気である精巣腫瘍が診断されることもあります。転移した部位により症状は異なります。例えば、腹部リンパ節への転移の場合では腹部のしこり・腹痛・腰痛などが、肺への転移の場合では息切れ・咳・血痰などが挙げられます。
精巣腫瘍は進行が速く、転移しやすいという特徴があります。そのため、精巣腫瘍が疑われる場合には、まず病気のある側の精巣を摘出する手術を行います(高位精巣摘除術)。病理診断と同時にCT検査などの画像診断によって、腫瘍の種類と病期を確定します。腫瘍がセミノーマであるか非セミノーマであるかによって、その後の治療方針と予後が異なります。
(精巣腫瘍診療ガイドライン2015年版より作成)