Treatment
化学療法センター長
泌尿器科 教授
小原 航
Wataru Obara
新規薬剤の開発にともない投与方法簡便化や副作用の軽減に対する医療の進歩によって、外来でも安全にがん薬物治療を受けることができるようになりました。患者さんは、自宅で生活を送り、ご家族の援助を受けながら、がん治療を受けることが可能になりました。当センターでは、多くの診療科からの治療依頼を受け、様々な疾患の患者さんを外来通院にて治療を行っております。
当センターでの外来化学療法の治療スケジュール(レジメン)は、すべてのレジメンを審査し、委員会での承認を得て実施されております。登録されたレジメンは、電子カルテシステムからのオーダーが可能となり、抗がん剤の投与スケジュールの過誤や過量投与の防止に役立っております。
当センターには、電動リクライニングチェアが30床、テレビや雑誌、DVDプレーヤーが完備されております。面談の際などに使用する、プライベートを保つための個室もご用意しております。治療中の患者さんの苦痛を少しでも和らげる工夫をしております。
がん化学療法では、吐き気や気分不良などの身体症状を伴うことがあります。このような治療の副作用をできるだけ少なくするために、化学療法を専門とする認定看護師などのスタッフが、患者さんの体調をきめ細かく観察し、援助します。また、患者さんやご家族に病気や治療法をよく理解してもらうため、スタッフによる丁寧な説明を行うことも治療の不安を和らげるために大切なことだと考えております。
治療中の患者さんの状態については、常にスタッフが確認しておりますが、稀に抗がん剤による重度のアレルギー反応や皮下への点滴漏れが起こることがあります。このような事態が生じた場合、当センターのスタッフが迅速な対応を行い、院内のマニュアルに遵守した迅速かつ適切な対応を心がけております。
がん化学療法を安全で効果的に実施するためには、正確な抗がん剤の調製が不可欠です。そのために、化学療法を専門とした薬剤師(がん専門薬剤師)が、高い技術と最新の知識を持って正確な抗がん剤の調製を行っております。患者さんのお薬を調製する際には、手袋、ガウン、マスク等の防護具を着用し、安全キャビネットという設備を使用することで、抗がん剤による汚染を回避するとともに、無菌的な調製を行っております。
患者さんに投与されるお薬は、薬剤師による入念な処方チェックが行われております。また、お薬に印字されているバーコードの照合や、重量計測による数量確認が可能な自動監査システムを用いて、正しいお薬が正確に投与されるかを事前に確認し、安心と安全をお届けできるよう最善の努力をしております。