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悪性骨・軟部腫瘍

骨・軟部腫瘍とは

 骨・軟部腫瘍とは、骨や軟部組織(脂肪、筋肉など)にできる腫瘍の総称です。それぞれ、良性と悪性があります。骨・軟部腫瘍には非常にたくさんの種類がありますが、ここでは主に悪性の骨・軟部腫瘍について説明します。悪性骨・軟部腫瘍には「肉腫」という名称がつけられていますが、「骨や軟部組織にできるがん」と同義です。骨の悪性腫瘍である骨肉腫は年間およそ100万人に1人、悪性軟部腫瘍はおよそ10万人に1人の発生で、稀少がんとされています。

骨・軟部腫瘍の症状

 悪性骨腫瘍には若い人に多い骨肉腫や高齢者に多い軟骨肉腫があり、症状は主に四肢の痛みです。悪性軟部腫瘍には若い人に多い横紋筋肉腫・滑膜肉腫や高齢者に多い未分化多形肉腫・脂肪肉腫があり、症状は四肢の腫瘤です。悪性軟部腫瘍は体の深い部分に多く、大きくなるまで気づかれないこともあります。また、悪性骨・軟部腫瘍は急に大きくなることも特徴的です。

骨・軟部腫瘍の診断方法

 骨・軟部腫瘍は、その種類にかかわらず他のがんと同様に腫瘍組織を採取(生検)し、病理診断が行われて確定診断となります。部位などにより、外来での針生検・入院での切開生検・CTガイド下生検が行われます。そのほかに、超音波検査・造影CT・造影MRI・PETなどが行われます。

骨・軟部腫瘍の治療

 悪性骨・軟部腫瘍を根治するには手術による広範切除が必須になります。再発しないように周囲の組織を腫瘍と一緒に切除しなければならないため、機能・組織の再建が必要になることがあります。腫瘍の種類によっては術前化学療法や放射線治療で手術前に腫瘍を縮小し、機能を温存する手術が可能になることがあります。また、年齢や悪性度によっては術後に化学療法を行い、転移を予防することを勧めることもあります。腫瘍の大きさや部位によって手術が困難な場合は重粒子線治療を提案します。腫瘍の転移などで上記の根治的な治療が不可能な場合は緩和的な放射線治療や化学療法を提案します。

転移性骨腫瘍について

 他のところに発生したがんが骨に転移することを骨転移と呼びます。骨転移が多いがんに前立腺がん・乳がん・腎がん・肺がんなどがあります。脊椎・骨盤・大腿骨が転移しやすい部位です。転移による症状には腰痛や四肢の痛みがあり、これらの症状がきっかけでがんが見つかることもあります。そのような場合は生検や採血・画像診断などで原因となるがんを迅速に見つけ、治療につなげます。また、がんの治療が進歩し、予後が伸びることによってがんの治療中に骨転移が見つかる患者さんも増えています。脊椎の骨折やそれに伴う四肢麻痺、四肢の骨折を生じると強い痛みが生じたり体を思うように動かせなくなったりします。がんの治療を継続できなくなるほか、生活の質が非常に悪くなります。そのようにならないために、骨転移の進行を抑える薬や放射線治療・脊椎を固定する手術・骨転移を切除する手術・骨転移による四肢の骨折に対する手術・装具の作成・リハビリテーションなどを患者さんに合わせて提案しています。当院では関連する診療科医師・医療スタッフが集まって診断や治療を話し合う骨転移カンファレンスを定期的に開催しています。

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