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皮膚がん

皮膚がんとは

 皮膚がんは紫外線が原因となることが多いため、色素の少ない白人に多く、黒人には少ないがんです。黄色人種である日本人ではその中間とされていて、皮膚がんは日本人に多いがんではありません。しかし、高齢化に伴い皮膚がんは急速に増加しています。日本国内で新たに皮膚がんと診断された患者さんは年間3万人程度と10年前の2倍以上に及びます。しかし、皮膚がんで亡くなる患者さんは全体の数%であり、他のがんと比べて死亡率は低めです。皮膚がんは様々な種類がありますが、代表的なものとして基底細胞癌、有棘細胞癌、悪性黒色腫(メラノーマ)、乳房外パジェット病があります。

皮膚がんの症状

 内臓に生じるがんと違い、皮膚がんは目に見えるところに生じることから早期発見が可能ですが、痒みや痛みなどの症状が出現することは少なく発見が遅れることもあります。
 代表的な皮膚がんのうち最も多くみられる基底細胞がんは高齢者の顔面に好発します。黒色調を呈することが多く、潰瘍がみられることもあります。転移することはまれですが、進行すると骨などの深部組織に及びます(図1)。有棘細胞がんは顔面や手背などの日光露光部に好発しますが、やけどや外傷の痕などからも生じます。いびつな紅色の腫瘍としてみられ、表面はびらんとなるため出血や悪臭を伴います(図2)。

 乳房外パジェット病は外陰部に好発しますが、わきや肛門の周りにも生じます。紅色の色素斑ですが、白色や褐色の部分もみられます(図3)。表面がじくじくすることや、一部が隆起することもあります。湿疹やタムシのようにかゆみを伴うことがあり、外用薬などで治療されることもあります。

皮膚がんの診断方法

 皮膚がんを診断するための検査には視診、ダーマスコピー、皮膚生検などの検査があります。ダーモスコピー検査とはダーモスコープというライトがついた拡大鏡で皮膚の状態を検査する方法です。非常に簡単な検査で患者さんに痛みなどは全く伴いません。皮膚の色素や細かい血管などを観察することで皮膚がんの診断に役立ちます。視診とダーモスコピーの結果から皮膚がんが疑われる場合は、診断を確定するため皮膚生検という検査を行います。皮膚生検は局所麻酔をした後に病変部を一部、もしくは全部切り取って、顕微鏡で観察します。検査結果は1~2週間程度と分かるまでに時間がかかります。
 皮膚がんの診断がついた場合は病変の広がりをみるためにCT検査やPET検査などの画像検査を行います。

皮膚がんの治療

 皮膚がんの大部分は転移がなければ手術による根治が可能です。手術は腫瘍の肉眼的な境界から一定の範囲を離して腫瘍部を切除します。切除した部分は可能ならば単純に縫い縮める「縫縮」という方法をとりますが、範囲が広い場合は自分の皮膚の一部を取り、切除した部分に植える「植皮」という方法や隣接した皮膚を血流のある状態で移動させる「皮弁」という方法を用います。所属リンパ節へ転移がある場合はリンパ節と周囲の組織を一塊に摘出するリンパ節郭清を行うこともあります。ご高齢の患者さんや切除が難しい部位の患者さんの場合は放射線治療が行われることもありますが、手術と比較して根治性は劣ります。また、他の臓器に転移している場合などは手術を行わず、放射線治療や抗がん剤治療を行うこともあります。また、皮膚がんには皮膚の最も浅い表皮という部位に限局した表皮内がんとして日光角化症、ボーエン病という病気があります。これらの表皮内がんは転移を起こすことはありませんが、時間が経つと有棘細胞がんに進展します。表皮内癌の場合も基本的には手術を行う場合が多いのですが、日光角化症では液体窒素を押し当てて腫瘍を凍結、壊死させる凍結療法やイミキモドという免疫を高める効果のある外用薬を用いる治療を行うことがあります。

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