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網膜芽細胞腫

網膜芽細胞腫とは

 眼底の網膜にできる悪性腫瘍です。両眼性の場合には遺伝性である可能性があります。ご両親のどちらかが両眼の網膜細胞腫の罹患歴があれば、お子さんに異常がないようでも、生後早目の眼底検査をお勧めしています。

網膜芽細胞腫の症状

 眼底にできる腫瘍ですので、普段の生活で腫瘍が直接見えることはありません。生まれつき大きな腫瘍が眼底から盛り上がっていると瞳孔が白く見える「白色瞳孔」や写真撮影時の「赤目」がみられることがあります。黄斑部(眼底の中心部)にかかる腫瘍では視力が出ませんので、低視力に由来する「斜視」が見られるようになります。そのため、斜視を契機として発見されることがほとんどです。先進国では学童期までに90%以上が発見されます。医療が整っていない国では腫瘍の治療が受けられず、放置すると眼球が膨張して、目の周りがひどく腫れあがります。腫瘍が眼球外へ浸潤すると生命が脅かされることになります。

網膜芽細胞腫の診断方法

 散瞳して眼底検査をすることが最も確実な診断につながります(写真)。眼底検査のほかに眼球の超音波検査を行います。また、頭部(松果体)にも腫瘍が同時発生することがあるので、頭部の画像診断も行います。

網膜芽細胞腫の治療

 腫瘍が大きく、治療後も視力が望めない場合には、残念ながら眼球を摘出することを提案いたします。網膜芽細胞腫は悪性腫瘍ではありますが、眼外に腫瘍の浸潤・転移がない場合では生存率が非常に高いことが知られています。
 両眼の腫瘍の場合では、小児科に依頼して全身化学療法を行います。網膜芽細胞腫は血液がんに分類される腫瘍で、高い確率で抗がん剤による腫瘍の縮小が望めます。その後の局所療法(抗がん剤の眼動脈注入など)は国立がん研究センターに依頼しています。

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