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腎細胞がん

腎細胞がんとは

 腎臓にできるがんのうち、腎細胞ががん化して悪性腫瘍になったものです。同じ腎臓にできたがんでも、腎盂にある細胞ががん化したものは「腎盂がん」と呼ばれ、腎細胞がんとは区別します。腎細胞がんと腎盂がんは、がんの性質や治療法が異なるためです。一般的に腎がんとは腎細胞がんのことをいいます。腎細胞がんにかかる割合は、10万人に約6人です。危険因子は単一ではなく、喫煙、肥満、高血圧等の因子が複合的に作用していると考えられています。また、透析患者さんに発生する後天性嚢胞性腎疾患(ACDK)や、遺伝性疾患であるvon Hippel-Lindau(VHL)病に腎細胞がんが高率に合併します。

腎細胞がんの症状

 腎細胞がんは比較的症状が出現しにくく、特徴的な症状はありません。最近は無症状で発見されることが多くなっています。超音波やCT検査等の診断機器が普及し、検診や他疾患の精査中に偶然発見される、いわゆる偶発がんがほとんどです。一方、肺や脳、骨などに転移したがんが先に見つかり、結果として腎細胞がんが見つかることもあります。腎細胞がんが進行すると付随症状として、血尿、腹部のしこり、腰背部痛、発熱、体重減少、貧血、肝障害など出現することがあります。

腎細胞がんの診断方法

 腎細胞がんの診断に有用な腫瘍マーカーはいまのところありません。早期発見には腹部超音波検査が有用とされています。確定診断にはCT検査が有用で、特に造影CT検査が用いられます。造影剤アレルギーや腎機能障害のため造影剤が使用できない場合はMRIを施行する場合もあります。

腎細胞がんの治療

 腎細胞がんは放射線治療や抗癌剤治療の有効性は乏しく、可能な限り手術によるがんの摘除が中心となります。

転移のない腎細胞がん

 小さい腎細胞がんに対しては、腎機能保持を目的に腎部分切除術が考慮されます。腎部分切除術は、腫瘍とその周辺部分のみを切除し、正常な腎組織を温存する方法です。手術方法には開腹手術や腹腔鏡下手術がありますが、2016年4月にロボット支援腎部分切除術が保険適用となりました。ロボット支援腎部分切除術は、3次元の立体的な画像を見ながら腫瘍と臓器の位置関係を正確にとらえ、人間の手の関節以上に自由度の高いロボット鉗子を用いることで、精密な切開や縫合を素早く行うことが可能です。腎部分切除が難しい腎細胞がんに対しては、がんのある側の腎臓をすべて取り除く根治的腎摘除術が考慮されます。腎細胞がんの大きさや進行度によって、腹腔鏡下手術や開腹手術が選択されます。

転移のある腎細胞がん

 転移のある腎細胞がんであっても、全身状態が良好で、転移巣が肺や副腎等で完全に切除可能であれば、手術による切除が考慮されます。切除が難しい腎細胞がんに対しては、薬物療法です。分子標的治療薬、免疫療法があります。
 分子標的治療薬による治療によってあらわれる副作用は、使用する薬剤ごとに異なります。使用する薬剤は、スニチニブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、アキシチニブ、テムシロリムス、エベロリムスです。1次治療だけでなく、2次治療、3次治療でも選択されます。免疫療法には、サイトカイン療法と免疫チェックポイント阻害薬があります。サイトカイン療法は、1次治療で分子標的薬の使用が適さない場合の選択肢のひとつです。インターフェロンαやインターロイキン-2が用いられます。免疫チェックポイント阻害薬は、がんが免疫を逃れて生き延びようとする機構をブロックして、がんに対する免疫によりがんの進行を抑える治療です。1次治療の選択肢としてイピリムマブ+ニボルマブ併用療法が、2次治療・3次治療の選択肢としてニボルマブが用いられます。

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