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多発性骨髄腫

多発性骨髄腫とは

 骨髄中の血液細胞の一つである形質細胞ががん化した疾患が多発性骨髄腫です.われわれの身体に細菌やウイルスが侵入すると様々な免疫反応が起こります.そのときに形質細胞は抗体を産生し,細菌やウイルスに対する免疫において重要な働きをします.形質細胞ががん化し多発性骨髄腫になると産生される抗体の機能も変化し正常には働かず,感染症が起こりやすくなります.

多発性骨髄腫の症状

 多発性骨髄腫では骨を破壊する破骨細胞が活性化しており骨がもろくなります.そのため骨折しやすくなるとともに骨の構成成分であるカルシウムが血液内で増え高カルシウム血症を呈することがあります.多発性骨髄腫は尿を作る腎臓の機能を低下させ,尿が減り身体が浮腫み体重が増えることがあります.また,体内で血液を造る力を低下させ,貧血による症状(息切れ・頭痛・めまい・疲れやすい・動悸など)をきたすことがあります.その他,肺炎や敗血症といった重症感染症を起こしやすくなることもあります.

多発性骨髄腫の診断方法

 多発性骨髄腫が産生する異常タンパクである「M蛋白」が体内にあることを血液検査や尿検査により証明すること,また,造血組織である骨の中の骨髄で多発性骨髄腫が増加していることを証明することにより診断します.

多発性骨髄腫の治療

 近年、新たな治療薬が開発され治療成績も向上しつつあります.プロテアソーム阻害薬(ボルテゾミブ、イキサゾミブ、カルフィルゾミブ)や免疫調整薬(レナリドミド、ポマリドミド)といった薬剤のほかにダラツムマブ、エロツズマブなどの抗体も開発され臨床応用されています.また全身状態のよい70歳以下の方ではより良い効果を期待して自家移植併用大量化学療法(注)を行います.しかしながら完全な治癒を得ることは未だ困難であり今後の治療成績の向上が望まれます.

(注)自家移植併用大量化学療法とは

 骨髄から末梢血に誘導された,ご自身の造血幹細胞を血液成分分離装置により事前に凍結保存します.その上で、大量の抗がん剤で治療を行いますが自身の造血幹細胞は大量の抗がん剤により破壊され自己複製が困難になります.そこで事前に凍結保存しておいたご自身の幹細胞を点滴により体内に戻し,造血幹細胞を移植し造血能力を回復しつつ、病変縮小を図ります.

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