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肝臓がん

内科的

肝臓がんとは

 肝臓は体内最大の臓器で、成人ではその重量は1~1.5kgほどあります。肝臓にがんが存在する場合、それを総称して肝臓がんと呼びますが、肝臓を構成する細胞から発生する原発性肝がんと、他の臓器に発生したがんが肝臓に転移してきた転移性肝癌に大別されます。肝臓を構成する細胞には主なものとして肝細胞と胆管細胞があり、肝細胞から発生したものを肝細胞がん、胆管細胞から発生したものを胆管細胞がんと呼びます。
 肝臓がんの約95%は肝細胞がんが占めており、肝細胞がんは多くの場合肝臓内に再発します。また、肺やリンパ節、副腎、脳、骨などに転移することがあります。肝臓以外の臓器にできたがんが肝臓に転移してきた転移性肝がんは肝細胞がんとは区別され、治療は原発のがん(最初に発生したがん)に準じて行われます。

肝臓がんの症状

 肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、炎症やがんがあっても初期には自覚症状がほとんどありません。しかし、肝臓がんは慢性肝炎や肝硬変など経過中に発生してくることがほとんどであり、黄疸、腹水、意識障害など肝不全による症状が見られることがあります。また、肝臓がんがお腹の中で破裂し、出血すると突然の強い腹痛や貧血症状が出たり、血圧が低下しショック状態に陥ったりすることがあります。癌が肺や骨などに転移すると、その臓器特有の症状や痛みが出現することもあります。

肝臓がんの診断方法

1.血液検査

 血液検査ではAFP、AFP-L3分画やPIVKA-Ⅱという複数の腫瘍マーカーを調べます。腫瘍マーカーは、がんが存在するとがんの進行に伴って数値は上昇し、治療でがんが小さくなれば低下するため、腫瘍マーカーはがんの発生や再発の有無などの診断や、治療効果の判定に役立ちます。しかし、肝がんの腫瘍マーカーは、肝がんであっても陰性のこともあり、また逆に、肝臓がんがなくても肝炎や肝硬変だけでも陽性となることがあるため、腫瘍マーカーの検査のみではなく、画像検査が必要となります。

2.画像検査

 肝臓がんの診断で重要な画像検査として、超音波検査とCT検査、MRI検査があります。とくに超音波検査は簡便で非侵襲的であることから、肝臓がんのスクリーニング検査として広く行われています。CT検査やMRI検査は、がんの存在部位や広がりなどを客観的に見ることができます。しかし、肝臓がんの診断のためには通常造影剤を使用したCT検査やMRI検査を行うため、アレルギーのある患者さんには検査を行えない場合もあります。

3.肝生検

 血液検査や画像検査の結果から多くの場合は肝臓がんの診断をつけることができますが、時にはこれらの検査を行っても診断がつけられないことがあり、その場合は腫瘍生検という検査を行います。超音波の画像を見ながら肝臓の腫瘍部分に細い針を刺して少量の組織をとり、顕微鏡でがん細胞がないかを調べます。

肝臓がんの治療

 腫瘍の大きさ、数、存在部位などを参考に治療方法を選択します。しかし、肝硬変が進行し肝不全の状態にある場合は、肝臓がんの治療を行うと逆に肝機能が悪化してしまうことがあり、慢性肝炎や肝硬変といった基礎の肝臓の病気の状態も考えて治療法を決定します。
 肝臓がんの内科的治療には、腫瘍を直接穿刺し、ラジオ波やマイクロ波で癌細胞を処置する穿刺局所療法と、腫瘍を栄養する血管を介して治療を行う肝動脈塞栓療術、抗がん剤や分子標的治療薬を投与する化学療法があります。
 これらの内科的治療以外には、肝切除、肝移植といった外科的治療や、放射線療法などもあります。

外科的

 

 

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