がん治療のための専門施設 がんセンター

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Treatment

胆嚢がん・胆管がん

内科的

胆嚢がんとは

 胆嚢にできた悪性腫瘍を胆のうがんといいます。また、胆のうがんの危険因子として、先天性の形成異常である膵・胆管合流異常があります。合流異常によって膵液と胆汁の逆流が起こり、胆道や膵臓に様々な病態を引き起こすことが知られています。そのため膵・胆管合流異常では、予防的胆嚢摘出術が検討されます。また、胆嚢ポリープで10mm以上あり、かつ増大傾向を認める場合、あるいは大きさに関わらず広基性病変である場合は胆嚢がんである可能性が高く、胆嚢摘出術が推奨されます。

胆嚢がんの症状

 胆嚢がんの主な症状は、発熱、右上腹部痛、悪心・嘔吐、体重減少、食欲不振、腹部膨満、腹部腫瘤、黄疸、掻痒感などですが、いずれも胆嚢がんだけに見られる特有の症状ではありません。

胆嚢がんの治療

 切除不能の胆嚢がんに対する最適な治療法は化学療法です。胆嚢がんに対する標準化学療法としてはゲムシタビン+シスプラチン(GC)療法、ゲムシタビン療法、S-1療法、ゲムシタビン+S-1療法などがあります。

胆管がんとは

 胆管の上皮から発生する悪性腫瘍を胆管がんといいます。その発生した胆管の部位により、肝外胆管がんと肝内胆管がんに分けられます。これらの肝外胆管がんと胆のうがんを合わせて胆道がんと呼びます。肝内胆管がんは胆管細胞がんと呼ばれることもあり肝臓にできたがんと取り扱われることがあります。

胆管がんの症状

 胆管がんの主な症状は、胆のうがんとほぼ同様で発熱、悪心・嘔吐、体重減少、食欲不振、右上腹部痛、黄疸、掻痒感などです

胆管がんの治療

病期診断で手術できない時期と判断された場合、抗がん剤による全身性化学療法をお勧めします。胆道がんに対する標準化学療法はゲムシタビン+シスプラチン(GC)療法、ゲムシタビン療法、S-1療法などです。

外科的

胆道がんとは

 胆道とは肝臓で作られる胆汁の通り道である胆管・胆嚢・十二指腸乳頭部の総称で、これらの部位から発生する悪性腫瘍を胆道がんと呼びます。肝臓で作られた胆汁は肝内の胆管(肝内胆管)から上部胆管を通り、いったん胆嚢で蓄えられたあと濃縮され、胆嚢管から下部胆管、乳頭部を通って十二指腸に流れ、脂肪の分解と吸収に重要な役割を果たします。胆汁は、老化した赤血球に由来し、赤血球の代謝産物は肝臓に運ばれ胆汁となり、胆管を通り十二指腸に注がれます。胆汁は十二指腸において食べ物と混じり、便として排出されます。便の色が茶色であるのは、胆汁が混じるためであり、胆汁が十二指腸に流れない場合(閉塞性黄疸など)は便の色は灰白色になります。本邦では1年に約23,000人が胆道がんを発症しており、胆管がんは男性に多く、胆嚢がんは女性に多いとされています。胆道がんの死亡率は年々増加しており、その発症率は年齢を追うごとに高くなっています。
 胆道にできるがんは、肝内胆管がん・肝門部領域胆管がん・遠位側胆管がん・胆嚢がん・十二指腸乳頭部がんに分類されます。原則、手術による切除が一般的な治療法ですが、がんとその周囲の脈管との位置関係の詳細な把握や、肝切除を伴う場合には肝予備能の評価など専門的かつ高度な加療が必要です。また、病変の位置によってその術式が変わってきます。

胆道がんの症状

 胆道がんの最も多い症状は黄疸です。胆道にできたがんは胆道を閉塞し、その閉塞部位よりも上流側の胆管は拡張し、行き場のなくなった胆汁が血中に入り、目や皮膚を黄染し黄疸を発症します。うっ滞した胆汁に細菌感染が併発すれば、発熱(胆管炎)を伴います。また黄疸の進行に伴って体の掻痒感がでたり、尿の色が紅茶のように濃い色になったり、便が灰白色になる場合もあります。高度黄疸になると食欲不振や全身倦怠感も出現することがあります。

胆道がんの診断

 胆道がんが疑われた際に施行する検査は、血液検査・腹部超音波検査・およびCT検査などの画像診断検査です。血液検査では、黄疸の程度や肝障害・胆汁うっ滞の程度・腫瘍マーカーなどをみます。画像診断では上流の胆道の拡張を伴う閉塞性黄疸の原因(がんや結石など)を検討します。さらに胆道のどの部分が閉塞しているかを確認するために、MRI/MRCP検査を施行します。画像診断にて胆道がんが疑われる場合には、超音波内視鏡検査(EUS)や内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP)や胆管内超音波検査(IDUS)により詳細にがんの広がり等を検討してがんの進行程度を判断することになります。

胆道がんの治療(外科的治療)

1.肝内胆管がん

 治療効果が最も高いのは切除です。腫瘍の肉眼型や進展様式が多彩であるために、それらを考慮した肝切除が必要となります。また、肝外胆管切除を伴う場合もあります。肝内胆管がんはリンパ節転移をきたし易いために、所属するリンパ節を手術にて取り除く場合もあります。

2.胆管がん

 臨床病期において切除可能病変であれば、手術が最も治癒が期待できる治療法です。一般的には肝門部領域胆管がんの場合には、肝葉切除・胆管切除を伴う術式が選択され、遠位胆管がんの場合には膵頭十二指腸切除が選択されます。肝門部領域胆管がんの場合には、胆管がんの進展範囲により肝左葉あるいは右葉切除が選択されます。近傍の門脈や冠動脈に容易に浸潤をきたすため、残肝側の血管合併切除・再建が必要になる場合もあります。

3.胆嚢がん

 早期の胆嚢がんは、胆嚢を摘出するだけで充分です。一方、進行胆嚢がんの場合には、周辺臓器(肝臓、胆管、膵臓、十二指腸、大腸、リンパ節など)の合併切除が必要となります。肝切除とリンパ節郭清が基本術式ですが、病変の広がりに応じて、胆管切除再建や膵頭十二指腸切除や大腸切除を付加する必要があります。従って、がんの広がりと切除臓器範囲や、患者の術前状態などを充分に検討したうえで手術適応を決める必要があります。

4.乳頭部がん

 乳頭部がんに対する標準的治療は手術による切除です。手術術式として膵頭十二指腸切除を施行します。早期の乳頭部がんや膵頭十二指腸切除を施行できない場合には、内視鏡的乳頭切除が施行される場合がありますが、標準治療として確立されている術式ではありません。

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