病み悩める患者・ご家族の方々に誠実に向き合い、医学の真理を追い求める医師たるべく、その礎を築いていただきたいと思います。

伊藤 薫樹
Shigeki Ito
医師卒後臨床研修センター長

医師臨床研修制度の理念は「医師としての人格」を涵養し、「医療の社会性」を認識しながら、「基本的な診療能力」を身につけることであり、岩手医科大学の臨床研修プログラムでもこれら理念に適う充実した臨床研修を実践していただけるよう、さまざまな取組を行っております。

当院は,2019年9月に最新鋭の設備を備えた新病院(矢巾)に移転しました。これにより医・歯・薬・看の4学部が同一キャンパスに揃う医療系総合大学として診療・教育・研究環境が整いました。さらに2021年4月には大学敷地内に臨床研修医のための宿舎が完成し、より一層、研修に集中できる環境が整備され、多くの研修医に利用していただいております。医師卒後臨床研修センターには4名のスタッフが専従として配置されております。加えて総勢5名のセンター長、副センター長と各専門委員会の多くの指導医がタッグを組み、ローテーションや研修進捗状況、たすきがけ研修、心身の健康状態まできめ細かく親身にサポートし、安心かつ充実した研修環境を目指して継続的に取組んでおります。

当院には、「基本プログラム」と「産婦人科・小児科・周産期プログラム」の2つの臨床研修プログラムがあります。いずれにも共通する最大の特徴は必修以外の期間を自由に選択できる柔軟さにあります。当院は44の専門科を備える特定機能病院であり、ローテーション研修において不足する診療科はほぼありません。興味のある診療科や将来専攻する診療科をオーダーメイドでローテートすることが可能です。また、専門医取得のための専門研修プログラムは、19すべての基本領域を備えており、臨床研修から専門研修へスムーズな移行が可能です。さらに、学会発表や学位取得のための研究を全国レベルの指導医が指導しており,大学院履修環境にも恵まれていることも大きなメリットです。一方で、大学附属病院のみでは地域医療を経験する機会が少ないことは否めません。岩手県では12の基幹型臨床研修病院で「いわてイーハトーヴ臨床研修病院群」を形成し、希望する病院、診療科で自由に研修ができるようになっておりますが、当院ではさらに、県内外に30以上の病院や施設と連携し、さまざまな地域で展開される実践的地域医療を経験できるよう構築されております。当院の多くの研修医が、自由選択期間を活用して最前線の地域病院での研修を積極的に選択し、医師不足・医師偏在地域における地域総合医療と大学病院での高度専門医療とをバランスよく研修しております。2022年11月にはNPO法人卒後臨床研修評価機構(JCEP)による臨床研修第三者評価を受審し,2023年2月に認定を受けました。当院の研修体制の質が評価されたと思っておりますが,なお一層の質の向上を目指して参ります。

臨床研修の第一の到達目標には、医師としてのあらゆる行動を決定づける基本的価値観である「プロフェッショナリズム」が明示されておりますが、「誠の精神に基づく、誠の医療の実践」を理念に掲げる当院での臨床研修プログラムに基づき、この目標を達成していただけるものと確信しております。是非、岩手医科大学附属病院での研修を通じて、高い倫理観を持ち、病み悩める患者・ご家族の方々に誠実に向き合い、医学の真理を追い求める医師たるべく、その礎を築いていただきたいと思います。

2026年4月