医療関係者へ

がんとお金について知りたい

がんの治療費と医療保険制度

がんの治療や薬にかかる費用は高額になることがありますが、医療費の負担を軽くする制度があります。ここでは、代表的なものをご紹介します。

高額療養費制度

高額療養費制度は、1ヵ月(暦の月単位)に医療機関や薬局の窓口で支払った額が一定の金額を超えた場合に、その超えた金額が払い戻される制度です。(ただし、入院中の食事負担や差額ベッド代などは対象外です。)
払い戻しまでには3か月程度の期間がかかります。
また、「限度額適用認定証」を医療機関に提示すると、窓口での支払い額をあらかじめ抑えることもできます。年齢や加入している保険によって、利用できる制度や自己負担が異なりますので、加入している保険の窓口や、各病院の医療相談窓口、またはがん相談支援センターへご相談ください。

70歳未満の方の場合

所得区分

自己負担限度額

多数該当※2

①区分ア

  • ・標準報酬月額83万円以上の方
  • ・報酬月額81万円以上の方

252,600円 +

(総医療費※1–842,000円)x1%

140,100円

②区分イ

  • ・標準報酬月額53万円~79万円の方
  • ・報酬月額51万5千円以上~81万円未満の方

167,400円 +

(総医療費※1–558,000円)x1%

93,000円

③区分ウ

  • ・標準報酬月額28万円~50万円の方
  • ・報酬月額27万円以上~51万5千円未満の方

80,100円 +

(総医療費※1–267,000円)×1%

44,400円

④区分エ

  • ・標準報酬月額26万円以下の方
  • ・報酬月額27万円未満の方
57,600円 44,400円

⑤区分オ

  • ・低所得者
  • ・被保険者が市区町村民税の非課税者等
35,400円 24,600円
  • ※1総医療費とは保険適用される診察費用の総額(10割)です。
  • ※2 療養を受けた月以前の1年間に、3ヵ月以上の高額療養費の支給を受けた場合(限度額適用認定証を使用し、自己負担限度額を負担した場合も含む)には、4ヵ月目から「多数該当」となり、自己負担限度額がさらに軽減されます。
  • 注)「区分ア」または「区分イ」に該当する場合、市区町村民税が非課税であっても、標準報酬月額での「区分ア」または「区分イ」の該当となります。

70歳以上の方の場合

所得区分 自己負担限度額
外来(個人ごと) 外来・入院(世帯)

①現役並み所得者

現役並みIII

(標準報酬月額83万円以上で
高齢受給者証の負担割合が3割の方)

252,600円 + (総医療費-842,000円)x 1%
[多数該当140,100円]

現役並みII

(標準報酬月額53万円~79万円で 高齢受給者証の負担割合が3割の方)

167,400円 +(総医療費-558,000円)x 1%
[多数該当93,000円]

現役並みI

(標準報酬月額28万円~50万円で
高齢受給者証の負担割合が3割の方)

80,100円 + (総医療費-267,000 円)X1%
[多数該当44,400円]
②一般所得者
(①および③以外の方)
18,000円
(年間上限144,000円)
57,600円
[多数該当44,400円]
③低所得者

区分:Ⅱ※3

8,000円 24,600円

区分:Ⅰ※4

15,000円
  • ※3被保険者が市区町村民税の非課税者等である場合です。
  • ※4被保険者とその扶養家族全ての方の収入から必要経費・控除額を除いた後の所得がない場合です。
  • 注)現役並み所得者に該当する場合は、市区町村民税が非課税等であっても現役並み所得者となります。

限度額適用認定証

医療費が高額になりそうな場合、あらかじめ加入している保険の窓口に申請し、交付された認定証を医療機関で提示すると、支払いが自己負担限度額までに軽減されます。

全国健康保険協会 医療費が高額になりそうなとき(限度額適用認定)

高額療養費貸付制度

高額療養費として払い戻される費用のうち、8割程度を無利子で貸し付けする制度です。
限度額適用認定証の手続きが間に合わなかったときや、複数の医療機関で高額な支払いがあるときなどにも利用できる制度です。(※保険によって利用できない場合があります。)

全国健康保険協会 高額医療費貸付制度

傷病手当金制度

会社員や公務員などが、病気やけがで休まなければならなくなり、充分な給与を受け取ることができなくなったときに生活を支えてくれる被用者保険の制度です。長期間働けなくなったときに心強い味方になりますが、この制度は自分で請求しないとその給付を受けることができません。
保険への加入期間が1年以上あれば、退職後も傷病手当金の給付が受けられる場合があります。その他の条件もあるので、加入している(または 辞める前に加入していた)医療保険の窓口に相談しましょう。

対象となる人

健康保険、共済組合、船員保険等に加入しているご本人

支給の条件

  • ・病気のために療養中である
  • ・3日以上連続して仕事に就くことができない
  • ・給与が支払われない(支払いがあっても傷病手当金の額より少ない場合は、その差額が支給されます)

留意点

  • ・休職中、1日につき給料(標準報酬日額)の3分の2相当額が支給されます。
  • ・支給期間は、休職4日目から最長1年6ヵ月間です。
  • ・担当医師の証明、事業主(会社)の証明が必要になります。

全国健康保険協会 傷病手当金

その他医療費に関する制度
について

これらの他にも、医療費の負担を軽くするための制度が利用できる場合があります。詳しくは、加入している保険の窓口、市町村、各病院 の医療相談窓口、がん相談支援センターへご相談ください。