岩手医科大学 臨床研究支援センター 治験ユニット

治験用語集

治験
治験とは、国から医薬品又は医療機器の製造販売の承認を受けるために行う臨床試験(ヒトを対象とする試験)のこと。
GCP(Good Clinical Practice:医薬品の臨床試験の実施の基準)
医薬品の製造販売承認申請の際に提出すべき資料の収集のために治験を行う上で治験依頼者と実施医療機関が守らなければならない最低限の規則基準(1997年新GCP省令交付)。
GCPには、被験者の人権と安全が厳格に守られること、また、医薬品の開発が科学的に行われ、開発中の医薬品の情報が正確に収集されるための基準が定められている。
2003年7月の改正GCPでは、「医師主導の治験」の規定追加。
CRC(Clinical Research Coordinator:治験コーディネーター)
被験者の人権や安全性が守られ、GCPやSOPを遵守したルール違反のない信頼性の高い治験や臨床研究がスムーズに行われるよう、全体をコーディネートする専門スタッフ。(欧米では Research Nurse 、Study Nurseともいわれる)
CRF(Case Report Form:症例報告書)
各被験者に関して、治験依頼者に報告することが治験実施計画書において規定されている全ての情報を記録するための印刷された又は光学的若しくは電子的な記録様式及びこれらに記録されたもの。
ICH(International Conference on Harmonization:日米欧医薬品規制調和国際会議)
日米欧三極の新医薬品承認審査関連規制の調和を図ることにより、データの国際的な相互受入れを実現し、臨床試験や動物実験の不必要な繰り返しを防ぎ、承認審査を迅速化するとともに、新医薬品の研究開発を促進し、優れた新医薬品をより早く患者の手元に届けることを目的にする会議。
IRB(Institutional Review Board:治験審査委員会)
医学・歯学・薬学等の専門家及びそれ以外の者によって構成される病院長、治験責任医師及び治験依頼者から独立した委員会。当委員会の責務は、特に、治験実施計画書並びに被験者から文書によるインフォームドコンセントを得るのに使用される方法及び資料等を審査し、また継続審査を行うことによって、被験者の人権、安全及び福祉の保護を確保すること。
規制当局
厚生労働省及び厚生労働大臣が薬事法に基づき調査を委託した者(医薬品医療機器総合機構)。
治験責任医師 Investigator
医療機関において治験の実施に関して責任を有する医師又は歯科医師。医療機関において、治験が複数の者から成るチームにより実施される場合には、治験責任医師は当該チームの責任者たるリーダーである。
治験分担医師 Sub investigator
医療機関において治験を実施するチームに参加する個々の医師又は歯科医師で、治験責任医師によって指導・監督され、治験に係わる重要な業務及び決定を行う者。
SOP(Standard Operating Procedure:標準業務手順書)
各々の業務ごとに、その業務を均質に遂行するための手順を詳細に記述した文書。治験業務を誰が実施しても適切に遂行できるようにまとめられた、基本的な業務手順マニュアル。
被験者負担軽減費
各被験者が治験に参加することによって生じる、通院回数増加による交通費の増加や院内滞在時間延長による外食費等の余分な経費など、被験者のデメリットを解消するために支払われる費用。
治験実施計画書 Protocol
治験の目的・デザイン・方法、統計学的な考察及び組織について記述した文書(正式な手続きを踏んで改訂されたものを含む)。
治験薬概要書 Investigators Brochure
治験の実施に必要な、治験薬に関する非臨床試験及び臨床試験の成績を編集したもの。
原資料 Source Document
元となる文書、データ及び記録。
(例えば、病院記録、診療録、検査ノート、メモ、被験者の日記又は評価用チェックリスト、投与記録、自動計器の記録データ、正確な複写であることが検証によって保証された複写物又は転写物、マイクロフィッシュ、写真のネガ、マイクロフィルム又は磁気媒体、エックス線写真、被験者ファイル及び治験に関与する薬剤部門、検査室、医療技術部門に保存されている記録等)
SDV(Source Document Verification:直接閲覧)
厚生労働省やその関連機関及び製薬会社の担当者が医療機関に赴き、治験関連記録を直接見て、「カルテ等の原資料」と治験の個人データを記載している「症例報告書」の内容が一致しているかどうかを調査・確認すること。
モニタリング Monitoring
治験依頼者より指名されたモニターが、治験の進行状況を調査し、治験が治験実施計画書、標準業務手順書(SOP)、GCP等に従って実施、記録及び報告されていることを保証する活動。
モニター Monitor
治験依頼者又はCROに属する職員で、GCP教育を受け、医療知識などモニタリングを適切に行うための要件を満たしている者で、治験依頼者より任命され、治験実施計画書に記載された者。CRA(Clinical Research Associate)と呼ぶ場合もある。
監査 Audit
治験が治験実施計画書、標準業務手順書、薬事法、GCPに規定する基準に従って実施され、データが記録、解析され、正確に報告されているか否かを確定するため、治験依頼者によって指名された監査担当者が治験に係る業務及び文書を体系的かつ独立に検証すること。
被験者 Subject
治験(臨床試験)に参加し、治験薬の投与を受けるか又はその対照となる個人。
AE (Adverse Event:有害事象)
治験薬が投与された際に起こる、あらゆる好ましくない、あるいは意図しない徴候(臨床検査値の異常を含む)症状または病気のことであり、当該治験薬との因果関係の有無は問わない。
SAE(Serious Adverse Event:重篤な有害事象)

有害事象のうち、

  1. 死に至るもの
  2. 生命を脅かすもの
  3. 治療のため入院又は入院期間の延長が必要となるもの
  4. 永続的又は顕著な障害・機能不全に陥るもの
  5. 先天異常をきたすもの
  6. その他の重大な医学的事象
必須文書(Essential documents)
治験の実施状況、及び得られたデータの質を個々にまとめて評価することを可能にする文書等の記録。
プラセボ(Plasebo)
有効成分を含まず治療効果の無い「偽薬」で、外見、包装、味など見分けがつかないように、製造されたもの。
盲検化(Blinding)
薬効評価に対する偏りの介入を避ける目的で、治験に参加する単数又は複数の当事者が、治療方法の割付けについて知らされないようにする措置をいう。
無作為化(Randomization)
バイアス(偏り)を軽減するために、被験者を無作為に処置群(被験薬群)又は対照群に割り付ける方法。
保険外併用療養費(旧特定療養費制度)
保険診療と保険外診療の混在した診療に保険給付を認める制度。治験を含め高度先進医療などで適用され、基礎的な診療部分に対する保険給付が行われる。
「治験薬投与期間の全ての検査・画像診断、治験薬と同等の効能・効果を有する医薬品の費用」は、治験依頼者の負担となり、「全ての期間の基本診察料、処置、手術、麻酔」及び「治験薬投与期間外の検査・画像診断、医薬品の費用」は保険給付。

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