わが国では、約300万人の方が肝炎ウイルスに感染しており、毎年3万人の方が肝臓がんで亡くなられています。このため、国は肝臓病の克服に力を入れ、全国どこにいても最先端の治療が受けられる体制を目指しています。その仕組みとして、肝疾患診療連携拠点病院(以下、拠点病院)を各都道府県が選定し、医療レベルの向上に努めています。
岩手県では、岩手医科大学附属病院(以下、岩手医大)が唯一の拠点病院に指定され、16の「肝疾患診療専門医療機関」、60余りの「肝炎かかりつけ医」とネットワークを構築して、県全体の診療レベルの維持・向上を図っています。岩手医大には16名の日本肝臓学会専門医がおり、肝臓癌や肝炎の最先端の治療はもとより、肝臓移植も行える体制を取っており、いずれの治療患者数も全国有数です。病院内には、「肝疾患相談センター」を設置し、患者さんやご家族、あるいは職場関係者などの方がいつでも気軽に相談できるようにしています。また、月1回、患者さんや関係者の方を対象に「肝臓病教室」を開催し、医師、看護師、薬剤師、栄養士などが、診療や日常生活に関する指導や相談を行っています。
また、岩手県や各市町村、岩手県予防医学協会とも緊密に連携し、検診やその後の診療状況の把握に努めています。さらに、看護師や保健師の方を中心に専門の知識を持った「地域肝疾患アドバイザー」を養成し、肝炎を中心とした肝臓病に関する相談が気軽にできるような仕組みを構築しています。
岩手医大は拠点病院の活動を通して、また、肝疾患相談センターを通して、肝疾患に関する正しい知識を普及するとともに、患者さんの日常生活から最先端治療に至るまであらゆる支援をして参りたいと考えています。
岩手県では、病状に応じた適切な肝炎診療が行われるよう、「肝疾患診療専門医療機関」及び「肝炎かかりつけ医」を指定しています(岩手県ホームページより)。