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当科はすべての腎疾患、腎不全、高血圧性疾患に科学的根拠に基づいた最新かつ患者さん個別に最善の治療の実践を心がけています。具体的な診療内容と特徴は次の通りです。
1.慢性腎臓病(CKD)の診断・治療と透析(腎代替療法)への導入
- 糸球体腎炎、ネフローゼ、全身性疾患(糖尿病、膠原病など)に伴う腎障害、薬剤性腎障害など、あらゆる腎疾患の早期診断を行うとともに、重症化を予防するため個別のリスクに応じて科学的根拠に基づいた最新の治療を提供します。
- 検尿の異常(蛋白尿・血尿)や何らかの腎障害のある方は、必要に応じ、「腎生検」を実施して確定診断を行い、精度の高い診断に基づいた最適な治療方針を提案します。当科では4泊5日の「腎生検クリニカルパス」入院を導入し、患者さんの時間的・経済的負担軽減を図っています。
- 病状が進行した患者さんには、適切な時機に腎代替療法(血液透析・腹膜透析・腎移植)を説明し、患者さんに適した治療法の選択をお手伝いして、円滑な導入を図ります。
- 遺伝性腎疾患(多発性嚢胞腎やファブリー病など)の新しい薬物療法にも対応しています。
2.透析を受けている患者さんのマネージメント
- 腎センターの構成科として血液浄化療法部における維持透析や、合併症などで当院入院中の透析患者さんの全身管理を担当します。
3.高血圧、腎血管疾患の診断・治療
- 腎疾患、血管疾患(腎血管性高血圧など)、内分泌疾患(原発性アルドステロン症や褐色細胞腫など)などが原因となる二次性高血圧の専門的な内分泌学的検査や画像診断による確定診断を行ない的確な治療方針を提案します。
- 高血圧とその原因に関連する臓器障害(心、腎、脳、末梢血管など)を血圧日内変動、心エコー、頚動脈エコー、脈波伝播速度(PWV)、脳MRIなどの検査で的確に把握し、患者さん個別の病態と科学的根拠に基づいた目標血圧の設定、降圧薬の選択、生活習慣指導を含む療養指導など、質の高い降圧治療を提供します。
- 重症の高血圧で緊急を要する場合は連続的血圧監視下に降圧薬を投与し、慎重かつ確実に降圧します。
4.急性腎障害(AKI)の治療
- 腎臓以外の他臓器も関係して多彩な病態を呈することが多いため、迅速に病因の全身的検索と鑑別を行い、関連各科と連携して血液浄化療法も含む適切な治療を行います。
5.水電解質、酸塩基平衡異常の診断・治療 など
- 腎臓生理学、腎臓病学の専門的な正しい理解のもとに的確に診断を進め、適切な治療方針を提案します。
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- 東9A病棟を中心に、院内各病棟に20名程度まで受け入れています。
- 複数の医師からなる病棟担当医チームを編成し、グループ制による診療を行っています。
- すべての腎疾患・腎不全・高血圧性疾患の入院診療に対応し、急性・慢性の血液浄化、透析導入、慢性維持透析患者のマネージメントを行います。
- 指導医や多職種の参加する各種カンファレンスで様々な角度から情報共有を図るとともに、診断、治療方針および経過の綿密な検討とチェックが常に行われます。これにより、診断・治療のばらつきをなくし、病状やその変化に応じた科学的根拠に基づく迅速かつ適切な治療を提供できるよう努力しています。
主な定期カンファレンス:▶︎ 新入院カンファレンス(毎日)、▶︎ グループカンファレンス(毎日)、▶︎ 教授総回診(チャートラウンド:毎週)、▶︎ 腎病理組織(腎生検)カンファレンス(毎週)、▶︎ 指導医を交えた拡大グループカンファレンス(毎週)、▶︎ 病棟/透析症例多職種カンファレンス(随時)、▶︎ 腎移植カンファレンス(多職種・泌尿器科と合同、月1回)など。