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口腔外科はう蝕と歯周病以外の種々の歯科疾患の治療を担当する診療科です。口腔は、歯や口腔粘膜、顎骨だけでなく唾液腺、顎関節、咀嚼筋などの組織から成り立っています。これらが原因の疾患は多岐にわたります。また、当科では歯科医療センターでの全身麻酔下の手術や入院治療を担当しています。近年のう蝕の減少や少子高齢化などにより、日本人の歯科疾患の構成が大きく変化し、口腔外科的疾患が増えています。歯科医療センター口腔外科も同様で、現在、当センターの新患の50%以上が口腔外科を受診します。
口腔外科の診療内容は次のようなものがあります。- 歯の疾患:単純な抜歯だけでなく、骨に埋伏している歯、智歯(親知らず)の抜歯を行います。
- 顎の炎症:顎の腫れや痛みなどの炎症の治療を行います。歯が原因であることが多く、放置すると重とく化したり、何度も繰り返すために、原因に対する治療も行います。
- 口腔外傷:歯の脱落、粘膜や顔面皮膚の傷、顎の骨折、顎関節の打撲などの治療を行います。部位が顔面のため、口腔の機能の回復と同時に審美面にも配慮した治療が必要です。
- 唇顎口蓋裂:出生時の哺乳障害、裂の存在、ことばの障害、歯並びの乱れ、顎の変形など、成長とともに種々の障害がみられることがあります。当科では手術だけでなく、定期的に来院していただくことで、年齢に応じた最も適切なタイミングで治療を行います。
- 顎変形症:上下顎の位置関係のアンバランスにより咬み合わせに異常を生じることがあります。この場合、多くは外見的な顎の変形を伴います。上、下顎骨を手術で正しい位置に移動して、このアンバランスを解消します。
- 口腔腫瘍:良性と悪性のものがあります。悪性のものは早期に発見すればするほど予後は良好です。口腔は、容易にしかも特別な治療器具がなくても視診と触診が可能な部位です。口の中に異常を感じた場合、心配するよりも、少しでも早く受診することをお勧めします。
- 顎関節疾患:顎関節の痛みや開口障害、動かしたときの音などの症状を示す顎関節症や顎関節の骨折などに対する治療を行っています。
- 唾液腺疾患:唾液腺の炎症や腫瘍、唾石などの治療を行います。
- 口腔粘膜疾患:口内炎の代表である円形の小潰瘍のアフタだけでなく、白板症などの前癌病変やウイルスによるものなど多くの種類があります。正しい診断と治療が必要です。
当科では外来診療を内丸メディカルセンターで、入院治療を矢巾附属病院で行っています。関連各科と緊密な連携を取りながら、高度な臨床的判断を要する難症例にもチャレンジする精神を堅持し、機動力を駆使した臨床を展開いたします。