医科
呼吸器外科

  • 当科では、肺悪性疾患(肺癌・転移性肺腫瘍等)、肺良性疾患(良性肺腫瘍・嚢胞性肺疾患・気胸・膿胸等)、縦隔悪性腫瘍、縦隔良性腫瘍、胸壁腫瘍、手掌多汗症、胸部外傷、重症筋無力症の外科治療や、診断的肺生検・縦隔リンパ節生検などを中心として診療をおこなっております。

    肺癌

    我が国の死因の第一位は悪性新生物であり、その中でも肺癌の占める割合は年々増加傾向にあり、特に男性では悪性新生物による死亡数のトップは肺癌です。胸部レントゲンのみでは、1cm以下の小型早期肺癌を見つけるのは非常に困難であることは意外と知られていません。CT健診を受けるのが最善策といえるのでしょうが、現行の健診制度の中では毎年健診を必ず受けることが、早期発見→手術→治癒に至る唯一の方法といえます。健診は必ず毎年受けるように心がけて下さい。当科で最も力を入れているのがこの肺癌の治療で、昨今では年間140例ほどの手術を行っております。肺癌の手術は、従来肩甲骨部から前胸部にかけて約30cm以上大きく開胸する手法が取られていましたが、当科では胸腔鏡下手術(カメラを用いた手術)を導入しており、完全鏡視下手術といって胸腔鏡だけで肺葉切除が可能な手術手技を用いています。傷が1.5~4cm小さいことから美容的にも目立たないのみならず、術後の疼痛が圧倒的に軽減でき、回復期間が早いため入院期間の短縮(術後5日~1週間程度で退院)に貢献しております。

    転移性肺腫瘍

    大腸癌・腎細胞癌・乳癌・子宮癌・甲状腺癌・精巣腫瘍・骨肉腫・軟部組織肉腫(横紋筋肉腫・軟骨肉腫・脂肪肉腫等)など他臓器腫瘍からの肺転移に対しても、原発巣がコントロールされていれば、胸腔鏡を用いて、肺機能をできるだけ温存しながら、積極的に切除を行っています。

    良性肺腫瘍

    乳頭腫、組織球腫、過誤腫、結核腫、肉芽腫、硬化性血管腫などを相当します。良性肺腫瘍に関しても胸腔鏡を用い、できるだけ低侵襲で切除をおこなっております。

    嚢胞性肺疾患

    肺の末梢単位である肺胞が破壊されて拡大する気腫性肺嚢胞や、気管支の発生途上の異常分岐による先天的な気管支原性肺嚢胞などを相当します。気腫性肺嚢胞は大きくなると正常肺を圧迫することにより呼吸困難をきたすため、巨大なものや拡大傾向にあるものは積極的に手術で切除や縫縮術を行っています。また、気管支原性肺嚢胞は感染を繰り返すことが多いため、胸腔鏡を用いて積極的に切除しております。

    気胸

    やせ形の若い男性に多い原発性自然気胸と、何らかの疾患が原因で年配者に多い肺気腫に伴う続発性気胸に分かれます。自然気胸は再発を繰り返すことが多く、その度に次に再発する確率が上昇するという特徴をもっています。手術は胸腔鏡を用いて行いますので、傷跡は1〜2cmの小さな傷が3カ所つくだけで目立ちませんし、経過に応じて数日で退院可能です。肺気腫に伴う気胸の場合は、すでに呼吸機能低下を伴っていることが多い上、肺も脆弱であることから、各個人の呼吸機能を考慮し適切な治療法を選択し、手術の場合もできるだけ胸腔鏡を併用し呼吸機能を温存する手術を行っております。

    縦隔悪性腫瘍

    切除可能と考えられる胸腺癌・浸潤性胸腺腫などを相当します。手術と放射線照射療法、または抗癌剤による化学療法を組み合わせて治療することが多いです。当科では隣接臓器の合併切除を含めた積極的な切除を行っております。

    縦隔良性腫瘍

    気管支嚢腫や心膜嚢腫などの先天性嚢腫、非浸潤性胸腺腫・奇形種・神経原性腫瘍などがあります。発生する場所と腫瘍の大きさによって、胸腔鏡を用いたり、あるいは胸骨正中切開で切除を行っております。

    胸壁腫瘍

    肋骨腫瘍、肋軟骨腫瘍、胸壁軟部腫瘍などを相当し、胸壁切除を行って切除します。

    手掌多汗症

    緊張すると手のひらからポタポタと垂れるくらい汗をかく人はいませんか?そのため書類やテスト用紙などがびしょびしょに濡れてしまったり、人と握手するのを敬遠したり、ハンカチの携帯が常に欠かせない人はいませんか?これは手掌多汗症という病気です。手掌多汗症は胸腔鏡を用いて交感神経幹を適切な位置で切断することで、ほとんど完全に手のひらからの発汗を止めることができます(下肢からの代償性発汗はありますが)。手術は片側約30〜40分、両側でも2時間以内に終わり、傷も1〜2cmの小さな傷が側胸部に2カ所つくだけですのでほとんど目立ちませんし、入院期間もわずか2〜3日ですみます。心当たりある方は是非御相談下さい。

    胸部外傷

    交通事故などで、肋骨が折れて胸の中の出血が止まらない、折れた肋骨が肺に刺さって肺からの空気漏れが止まらないなどの状態に、開胸止血・肺の修復・肋骨の固定・異物除去などを緊急で行います。

    重症筋無力症

    神経と筋肉との間に介在するアセチルコリンという神経伝達物質の受容体に対する抗体(抗アセチルコリンレセプター抗体)が作られ、神経と筋肉の間の情報伝達が障害されて筋力が低下する病気です。軽度ですと眼瞼下垂(まぶたが下がる)や復視(物が二重に見える)などの眼症状に留まりますが、進行すると近位筋の筋力低下(茶碗を持つのが疲れる・落とす等)や嚥下障害(食べ物を飲み込みにくくなる)をきたし、重症になると呼吸困難を生じます。治療はステロイドや抗コリンエステラーゼ剤の内服や血漿交換などの神経内科的治療が主体となりますが、縦隔にある胸腺という組織が抗アセチルコリンレセプター抗体を著しく産生していることから、胸腺を周囲脂肪組織とともに摘出する拡大胸腺摘出術を行うことで、重症筋無力症の症状を改善させることが知られています。当科では神経内科グループと連携して、重症筋無力症の治療に外科的側面から、その治療の一端を担っています。重症筋無力症の手術も完全胸腔鏡下で行っています。

    診断的肺生検・縦隔リンパ節生検

    間質性肺炎などの内科的治療方針を決定するためには、実際の肺組織の病理組織学的所見が必要となる場合があります。当科では呼吸器内科と連携し、できるだけ侵襲を少なく安全に肺組織を採取できるよう、胸腔鏡を用いた診断的肺生検を行っております。また、悪性リンパ腫やサルコイドーシス等の縦隔リンパ節が腫大する病気の診断に、侵襲の少ない胸腔鏡を用いたリンパ節の生検を施行し、その診断に貢献しております。

    →呼吸器外科についての御相談・問い合わせは、019−651−5111(代表)呼吸器外科外来まで遠慮なくどうぞ。

    肺癌登録合同委員会 第7次事業:2010年肺癌手術症例の全国登録調査

    原発性肺がんは本邦における死因の第1位であり、日本国民の健康福祉の向上のために治療実績の向上が求められています。原発性肺がんの治療には外科治療、抗癌化学療法、分子標的療法、放射線療法がありますが、根治のためには外科治療が必須です。外科治療の成績の更なる向上のためには、大規模なデータベースによる治療成績の把握により、外科治療の適応や術式の妥当性が検討される必要があります。
    日本肺癌学会、日本呼吸器学会、日本呼吸器外科学会、日本呼吸器内視鏡学会の4学会が合同で運営する肺癌登録合同委員会は、日本の肺癌診療の診療成績を把握するため、定期的に全国の施設に協力を求めて、大規模なデータベースを構築してきました。肺癌登録合同委員会は、今回、第7次事業として2010年の原発性肺癌外科治療症例の後ろ向き登録開始することになりました。登録症例の解析結果をもとに、最新の肺癌治療成績を把握し、今後の肺癌診療に活かしていく予定です。また当事業の症例データベースは世界肺癌学会の国際データベース事業とも共同して、国際対癌連合(Union internationale contre lecancer あるいは The Union for International Cancer Control、略してUICC)によるTNM分類の改定にも貢献する予定です。
    当院は、2010年にも附属病院で肺癌に対する外科治療を受けられた患者さんの診療情報を肺癌登録合同委員会 第7次事業に登録し、全国および国際共同研究に貢献する予定です。研究計画書は、事務局である大阪大学 呼吸器外科学のホームページにも掲載されていますので、必要な場合はご確認ください。
    個人情報の管理は厳重にしておりますので、ご理解をお願いします。
    ただし、事業と研究への参加拒否される場合はご連絡ください。拒否の申し出のある患者さんの診療情報の登録は致しません。
    ご協力をお願いいたします。

  • 当科の担当する病棟は、呼吸器内科との混合病棟となっており、呼吸器疾患について常に呼吸器内科との間で患者様の御依頼・紹介・相談等の密接な連携が取りやすい環境が整っております。当科ではチーム医療制により、呼吸器外科の全ての医師がその患者様について把握できる体制を整えております。
    患者様への病状や手術についての御説明では、御自分の病状について十分理解していただいた上で我々と共に病気に対して闘っていくことを目標としており、一般の方にも、よく理解できるように懇切丁寧に説明することをモットーとしており、かつ御説明内容を書いてお渡しするようにしております。
    当科では、毎朝患者様について病状と治療方針について検討会を行っており、2週間に1回は呼吸器内科・放射線科との合同カンファレンス、月1回は呼吸器内科・放射線科、病理診断グループを交えた合同カンファレンスを開催しており、日々の診療にフィードバックしております。


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