検査室の紹介


【附属病院(矢巾本院)】

◆検体検査室(生化学検査分野)

生化学検査分野は、おなじみのコレステロールから肝機能、腎機能、糖尿病に関わる項目などを検査しています。その他、血液ガス分析、血中薬物濃度などの検査も行っています。これらの検査は、各病態の診断や治療効果の有無、病態の経過を知る上で欠かせない検査となっており、受診される患者さんは必ずと言っていいほど検査されている大事な検査と言えるのは間違いありません。
我々の仕事は、結果を迅速かつ正確に報告することが求められており、そのために日々の機器のメンテナンスや精度管理の徹底を大前提とし業務に取り組んでいます。
また、学会・研修会などで培った知識や技術を日々の業務はもちろんのこと、NST(栄養サポートチーム)、糖尿病教室に代表されるチーム医療に落とし込むことで大いに貢献しています。


◆検体検査室(免疫血清検査分野)

免疫血清検査分野は4機種の自動分析装置を用いて測定を行っています。検査項目は、感染症・腫瘍マーカー・内分泌ホルモン・自己抗体など多岐にわたります。生化学検査と同様に患者さんの診察前に結果を報告するよう迅速に対応しています。
また、免疫血清検査は様々な非特異反応に注意が必要であり、学会や研修会に参加し専門的な知識やスキルの維持・向上に努めています。
その他、チーム医療として栄養サポートチーム(NST)や糖尿病教室に参加している技師、腎移植に関連したHLA検査に従事している技師もいます。


◆検体検査室(血液検査分野)

血液検査分野は、血液一般検査、形態学的検査、凝固線溶系検査、細胞表面抗原検査(フローサイトメトリー)、血糖検査、血中薬物濃度、血液ガス分析、浸透圧検査などを担当しています。
特に形態学的検査は、自動血球分析装置の結果に異常があった場合、血液塗抹標本を作製し、人の目(目視法)で血液細胞分類を行って報告しています。
骨髄検査では、骨髄有核細胞数や巨核球数の算定、骨髄細胞分類を行い報告書の作成を行っております。
細胞表面抗原検査では、細胞性免疫検査(リンパ球サブセット検査や細胞表面マーカー)の他に、造血器幹細胞移植時(幹細胞採取時にCD34陽性細胞比率の検査など)にも行っております。
業務全体を把握しどんな時でも対応できるように一定の期間毎にローテーションを行い、検査の標準化に努めています。また効率的な業務ができるよう定期的にスタッフミーティングを行い、機器の状況や精度管理など情報共有を図っています。
部内で定期的に研修会の開催や各種資格の積極的な取得を行い、日々の検査に貢献できるよう努めています。


◆検体検査室(一般検査分野)

一般検査分野は、血液以外の臨床検査材料を扱い、尿(定性・沈査)検査、髄液検査、穿刺液検査、便(虫卵・虫体・脂肪染色)検査を行っています。
主な材料の尿や便の検査は、痛みを伴わない非侵襲的で簡便に実施可能な検査であることからスクリーニング検査として幅広く用いられています。
尿沈査検査では尿中有形成分(細胞や結晶等)を自動分析装置で測定し、さらに詳しい検査が必要と判断した場合は顕微鏡で観察します。尿沈渣検査や髄液検査の細胞数算定では顕微鏡で細胞成分の判定を行うため、専門的知識と技術が必要です。
迅速かつ臨床が求める高い付加価値のある結果報告ができるよう、学会や研修会等に積極的に参加し、自己研鑽に努めています。


◆輸血検査室

輸血検査室は、安全な輸血療法に必要な各種検査(血液型検査、不規則抗体検査、交差適合試験など)、適合する血液製剤の確保および保管と管理を主な業務としています。臨床支援として、血液製剤の分割、院内調製(洗浄赤血球・洗浄血小板・合成血)も行っています。
また、各診療科と協力し、患者さんやドナーさんの血液から移植に必要な細胞成分を分離するアフェレーシスを実施し、採取した細胞の調整、品質管理および保管を行っています。
安全な輸血療法と血液製剤の適正な使用を推進するために、各種ガイドラインにもとづく輸血関連マニュアルの整備と院内の輸血療法委員会を運営し、輸血医療は一種の移植医療であるという考えのもと、多様化する臨床のニーズに適切に応えることができるよう、日々の業務に努めています。
全自動輸血検査装置 Erytra
幹細胞採取室


◆細菌検査室

細菌検査室は、臨床検査技師7名が配属され認定臨床微生物検査技師制度協議会の研修施設(第201607号)として認定されています。
検査室内は陰圧で直接外部に空気が流れ出ない構造となっていますが、さらにバイオセーフティーレベル3の陰圧室も設置されており、ここでは特に危険な微生物を安全に検査することができます。
迅速な感染症診療および院内感染対策にあたるため365日体制を導入して、休日を問わず検査を実施しています。
また、チーム医療の一環として、ICT(Infection Control Team:感染対策チーム)、AST(Antimicrobial Stewardship Team:抗菌薬適正使用支援チーム)に参画しています。医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師の各職種でそれぞれの専門的知識を活かして活動しよりよい医療の提供に努めています。
細菌検査は、患者さんの臨床材料(血液、尿、喀痰、膿など)から感染症の原因微生物を検出してそれに有効な抗菌薬は何かを調べる検査をしています。
その検査は以下の手順で行われています。

塗抹検査
検査材料をスライドガラスに薄く塗り広げ、染色をして顕微鏡で観察することを塗抹検査といいます。細菌の染色にはグラム染色、結核菌などの染色には蛍光染色やチール・ネルゼン染色を行っています。

培養検査
細菌を肉眼で見える集落(コロニー)に育てるために、血液寒天培地などの寒天平板培地に検査材料を塗布し、それぞれの細菌に最適な条件下のもとで増殖させることを培養検査といいます。血液は液体培地が入った専用ボトルに入れて血液培養自動分析装置(BDバクテックTM FX システム)で培養しています。

同定検査
寒天平板培地に発育した細菌の中で、感染症の原因菌や病原性のある細菌を検索して質量分析装置(MALDIバイオタイパー)で菌の名前を調べています。

薬剤感受性検査
寒天平板培地に発育した細菌の中で、感染症の原因菌や病原性のある細菌に対して、どの抗菌薬が治療に使用できるのかを微生物同定感受性分析装置(MicroScan WalkAway DxM1096)や全自動迅速同定・感受性測定装置(RAISUS S4)で調べています。薬剤感受性検査によって、世間で問題となっている抗菌薬が効かない耐性菌(多剤耐性緑膿菌、MRSAなど)がわかります。

迅速検査
検査材料中の細菌やウイルス、細菌が産生する毒素を免疫学的検査法により短時間で検出する検査です。当院細菌検査室では、COVID-19、インフルエンザウイルス、A群β溶連菌抗原、尿中レジオネラ抗原、尿中肺炎球菌抗原、肺炎球菌細胞壁抗原、マイコプラズマ抗原、ロタウイルス抗原、アデノウイルス抗原、ノロウイルス抗原、RSウイルス抗原、水痘・帯状疱疹ウイルス抗原、CD(Clostridioides difficile)抗原と毒素の検査を行っています。

抗酸菌検査
結核菌や非結核性抗酸菌などを抗酸菌と呼びます。全自動抗酸菌培養検査装置(BDバクテックMGIT960)で培養して自動遺伝子検査装置(TRCReadyR -80)で結核菌群とMAC(Mycobacterium aviumMycobacterium intracellulare:非結核性抗酸菌の一種)の遺伝子検査を行っています。

遺伝子検査
培養検査で検出できない微生物や同定検査で同定が困難な微生物、また微生物が産生する毒素に対して必要に応じて自動遺伝子解析装置(GeneXpertR システムやFilmArrayR TORCH システム)で検査を行っています。

細菌検査室の役目
近年、新型コロナウイルス感染症や薬剤耐性菌の増加が問題となっています。原因となる病原微生物を最初に認知するのは細菌検査室です。私たちは、その情報を担当医と感染制御部に迅速かつ正確に伝えて院内感染防止に貢献する大事な役目を担っています。


~当院細菌検査室の概要(2021年9月)~







◆生理機能・超音波検査センター

生理機能・超音波検査センターには、臨床検査技師18名と受付事務員2~3名が配置されています。
主な検査項目としては、心電図、運動負荷心電図、ホルター心電図、呼吸機能検査、四肢血圧脈波検査、超音波検査(心臓、腹部、頸動脈、下肢動静脈、泌尿器、腎血管)、脳波検査、誘発電位検査、誘発筋電図検査など様々な分野の生理機能検査を行っています。また診療科や手術室へ出向して行う検査にも携わっています。
病院移転を機に各種超音波検査を集約し、超音波装置を有効的に活用する目的で『超音波検査センター』が設立されました。臨床医と一緒に検査を行うことでディスカッションがより活発になり、各診療科と緊密な関係構築ができています。
更に認定心電図専門士、認定心電検査技師、超音波検査士(循環器・消化器)、認定心エコー専門技師、認定脳神経超音波検査士、二級検査士(循環生理学、神経生理学)、日本臨床神経生理学会専門技術師などの各種学会認定資格取得、学会や研修会への参加・発表にも積極的に取り組んでおります。各診療科のニーズに合わせて柔軟に対応し、チーム一丸となって日々の検査業務に従事しています。


◆病理検査室(病理診断科)(病理診断科ホームページ準備中)


◆中央採血室

中央採血室は、外来エリア2階に位置し、光庭のまわりを待合としております。患者さんには、広く、明るい開放感のある場所でお待ちいただいております。
スタッフは、臨床検査技師1名、看護師6名、事務員2名、受付スタッフ1名(システムエイドが担当)で構成されております。
採血室では、平日は午前8時から診察後に治療を行う患者さんを対象に優先採血を行っております。8時30分からは通常の患者様と優先採血の患者さんを交互にお呼びします。治療が予定されている患者さんは、採血結果が出てからの診察と治療となり、特に病院での待ち時間が長くなる傾向があるということから、少しでも時間短縮になるように努めております。
システムの面では、RFID(Radio Frequency ldentification:近距離無線通信を用いた自動認識技術)を取り入れたラベルピンクラベル)を採用し採血管の照合を瞬時に行っております。採血室では、このシステムを使用すると、患者さんのトレーを呼び出し用読み取り機に載せるだけで、患者さんの呼び出し(採血台への誘導)と、必要な採血管の照合ができます。
中央採血室では採血業務の他に、翌日の病棟採血用採血管の準備、外注の採血管と伝票の管理も行っております。正確な検査データを迅速に臨床へ報告するためには、採血管の管理と採取が必要不可欠です。さらに、患者さんをお待たせする時間を短くするように努めております。



【附属内丸メディカルセンター】

◆検体検査室

内丸メディカルセンター検体検査室は、日々来院される外来患者様のため、生化学、感染症、腫瘍マーカー、内分泌、自己抗体、血中薬物濃度、血糖、血液ガス分析などの生化学・免疫検査や、血液一般検査、凝固・線溶検査、尿検査、髄液・穿刺液検査、形態学的検査、PCR検査、便検査など多岐にわたり幅広い検査を行っています。
取り扱う検体数は1日に約1000件を超えますが、患者様の診療前検査のため、検査結果を迅速かつ正確に報告することを目標に、機器の精度管理などを徹底し11名の臨床検査技師で業務に取り組んでいます。
スタッフは中央臨床検査部の基本理念を念頭に置き、日々の仕事に真摯に向き合い、明るくコミュニケーションの取れる職場を目標としています。また、スキルアップ維持のため積極的に学会や研修会などにも参加し、相互協力によって患者サービスや臨床支援を行っています。



◆生理機能・超音波検査センター

内丸メディカルセンターの生理機能・超音波検査センターには、臨床検査技師 13名と受付事務員2名が配置されています。
主な検査項目は、心電図、ホルター心電図、呼吸機能検査、四肢血圧脈波検査(ABI、CAVI、TBI)、超音波検査(心臓、腹部、泌尿器、血管)、脳波検査など様々な分野の生理機能検査を行っています。また内丸メディカルセンターに特化した生理検査として平衡機能検査、尿素呼気試験があります。
紹介状なしで受診可能な内丸メディカルセンターの良さは『即検査-即診察』という体制で、当日の検査依頼も積極的に対応しています。
附属病院や各分野の医師と連携を図りながら、高い精度で検査結果を迅速に提供できるよう取り組んでいます。患者さんだけではなく、医師や看護師、他職種が『入りやすい検査室』を心掛け、外来部門と協力しながら地域医療を支えています。
また学会・研修会への参加や各種認定資格を取得することで、知識・技術の向上にも励んでいます。




◆睡眠医療センター

内丸メディカルセンターの睡眠医療センターでは、臨床検査技師5名、看護師2名、事務員1名が配属されています。
検査項目は、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)、反復睡眠潜時検査(MSLT)、覚醒維持検査(MWT)、簡易ポリグラフ検査を行っています。また、睡眠時無呼吸症候群と診断された方へのCPAP(Continuous Positive Airway Pressure,持続陽圧呼吸療法)装置の導入説明を行っています。
PSG、MSLTは、睡眠中の状態を観察し、睡眠時無呼吸症候群(SAS)、レム睡眠行動障害、むずむず脚症候群、ナルコレプシーなどの睡眠障害を評価する検査です。
MWTは、トラックドライバーやヘリコプター操縦士など運転適性、過眠症治療の効果判定を行うときに施行する検査で、岩手県では日本睡眠学会認定A施設である当院のみで行っています。
当院では、PSGを月~木曜日に1日3~4床施行しており、検査時はアテンドとして看護師や臨床検査技師が夜勤に入り、安全で正確な検査を行っています。
これらの検査では、臨床検査技師が担う役割は大きく、電極・センサーなどの装着、解析を行っています。
また、日本睡眠学会専門検査技師の資格を取得し専門知識、技術を高め、学会や研修会などに積極的に参加しています。
スタッフ一人ひとりが技術の向上に努め、安心・安全・快適に検査を受けていただけるよう心がけています。